●9日目 - マカレスフィールド
昨日の予定を繰り越して今日お墓参りに行く事になった。ケイシーはお墓参りには興味ないと行って、一人でマンチェスターの町に出て行った。
再びマークと待ち合わせ。もう一つ見たかったURBISでのセックス・ピストルズ展。マークもURBISにはまだ行った事がないし、興味あるといって3人で出かけた。特別展の為、£3の入館料を払って中に入ると、まず、ジョニー・ロットンが着ていたガーゼのシャツ。その他にも、プロトタイプのビビアン・ウエストウッド制作の服飾品が展示されたり、ビデオ、ポスター、写真などが展示されていた。もともと相棒はピストルズのファンだったのですごい大喜びで一点一点感慨深そうにじーっくり見ていた。
そのURBISを後にし、マンチェスターピカデリー駅からお墓のあるマカレスフィールドに出発。前回も実はイアンのお墓参りをしていた。しかし、その時は車だった。今回は電車。地図も見ていないし駅からお墓まで行き着けるんだろうか?と思いつつ出かける。しかし、電車に乗る前に、マークが「僕が取材うけたDJの雑誌、もう発売されてるはずなんだ」と、その雑誌を探しまわる。駅近くのお店でやっと発見し、電車の中で三人で確認。おぉ〜!!載ってる!!
友達が雑誌に載っててちょっと変な感覚。イギリスから帰る間際、私もその雑誌を記念に買いました。
そうこうするうちに、電車はマカレスフィールドに到着。駅の向こうは小高い丘が連なり、教会の尖塔が見える。のどかな小さい町だった。方角がわからないまま、相棒が適当に「こっちかな?」と歩き出す。町の中心部、ちょっとしたメインストリートはバンクホリデーの為全てお休み。しかし歩いていてびっくりしたのは、こんな小さな町なのに「バング&オルフセン」の直営店があった事。需要があるんだろうか!?
そして、適当に道を曲がったりして歩いていると大きな通りに出た。すると相棒が「あぁ〜、この通り覚えてるよ!もうすぐだ!」方向音痴なはずなのに、こういう時威力を発揮する相棒にしばし呆然。そしてその通り歩いて行くと、本当にcrematorium(火葬場)に到着してしまった。
今年、イアン・カーティスが亡くなって丁度25年。厳密に言うと、彼は火葬されているので墓石ではなく、歩道沿いに埋め込まれた石に名前が刻まれている。彼の命日は5月18日だったので、訪れた人も多く、お花やメッセージが残されていた。その中には彼の伯父さんや伯母さん、従姉妹等のメッセージも見受けられた。「これからもずっと君の事忘れる事は絶対にないからね。愛してるよ」と記されていた。甥っ子の若すぎる死にどう感じていたんだろう。もし、生きていたらイアンも48歳。どんなおじさんになってたんだろうなんて考えたらしんみりしてしまった。また、ファンが残して行っただろうジョイ・ディビジョンの絵はがきや、イアン・カーティスのポートレイトがなんとも悲しく雨に濡れていた。そこで、私は例のイアン・ダンスを彼への手向けにトランスミッションを歌いながら踊ったのである。あまりのアホさ加減に自分に失笑。
イアンの残された家族、奥さんと娘は今でもマカレスフィールドに住んでると聞いた。そのイアンの名が刻まれた石の横には何も刻まれてない石が埋め込まれている。相棒によれば、奥さんが亡くなった時にそこに入るんだと言う事だった。相棒はこの小旅行中ずーっとイアンの真似して「デベー!デベー!」と叫んでいた。イアンが奥さんのデビーを呼ぶ時にそんな風に呼んでいたんだと言いながら。(笑)
私はこのマカレスフィールドという町が好きです。こぢんまりしてて、雰囲気の良い町です。もしイギリスに住めたらマカレスフィールドに住みたいとも思ったくらいです。マンチェスターに次回行く時も、また同じように電車でイアン・カーティスのお墓参りに行きたいと思っています。