●7日目 - ボルトン
マンチェスター2日目。今日はケイシーも一緒にお出かけです。マークに連絡すると、まず彼の家に来てくれと指示され、彼の住むウィジントンへ。彼の部屋を訪ねてから朝食を食べに行きました。
私はここでベルギーワッフルを食べました。バナナにチョコレートがかかったワッフル。すごい美味しかったです。ワッフルって日本では何年も前に大ヒットし、あの売店が増殖したと思ったら即消えて行きましたよね。私も好きだったのですが、最後の方ではあの匂いが売店からしてくるだけで不快にもなっていました。しかしワッフル自体随分食べてなかったので注文。味はあのワッフルに近く、もうちょっとふんわりしたワッフルでした。細かく言うと日本の街角で売っていたあれはリエージュ・ワッフルというそうです。
そういえば、夏になるとソフトクリームを売る屋台がよく出るのですが、今回の旅行ではソフトクリームの他、ワッフルも販売しているのを見ました。イギリスでは今ワッフルが流行ってるのか??
朝食後は再び中心部に出向き、ショッピング。まず、前回気に入ったお店、Magmaに連れて行ってもらいました。そして、古着やTシャツ、海賊版DVD?等、色んなお店の入ったビルに連れてってもらったりと、楽しみました。
夕方になって、ライブが行われるマンチェスター近郊のボルトンという町へ移動しました。前回もボルトンではライブを行っていました。当時の状況をちょっと説明すると、それはティーンの子ばかりのパーティー会場。しかし、集まった子たちは全身ピアスや怖い系タトゥー。。。ごっつく厳つい子ばっかりが集まっていました。シッポを巻いて逃げたくなった程です。私たちが演奏を始めると「アメリカ野郎!帰れ!」コール…。私はアメリカ人じゃないもんね〜と他人事のように聞いていた。(笑)
しかし「ピンボールの魔術師」のアレンジ(途中で「天国への階段」がくっついた変なやつ)を演奏し始めると、一人がステージ前に来て踊りだし(何故かキッズに混じっていたおじさん)、次々に子供達もステージ前に移動して踊りだした。。正直、こんな盛り上がって逆にビビる自分。演奏が終わった瞬間、あんな憎まれ口叩いてた子達が私たちの所にぞろぞろ集まる。こんなへっぽこベースの私にすら「すごく良かった!」とぞろぞろ来てくれた。
これがきっかけで、私たちバンドはボルトンではちょっとばかり有名なバンドになったのであります。しかも、自分たちの曲じゃなく。(笑)
これ以来、他の英国人が誰も気にしないようなボルトンという小さい町が好きになった。単純な人間です。
今回、そんな子達と再会です。会場に到着すると、前回のパーティー主催者のマーティンと挨拶。前回帰る時に何故かマーティンから「もう二度と会わないでしょう」なんて言われた。それをすごい覚えてるよと言うと、照れくさそうに爆笑。そして「あの後、皆が君たちの事を懐かしんで、また見たいまた見たいって大変だったんだ」
小腹がすいたので、演奏が始まる前に外に出かけた。しかしレストランも見つからず、近所のFish & Chipsのお店に入った。中国人経営のショップで、私はフィッシュを注文。出るまで時間がかかったが揚げたての熱々カリカリ、衣の中はフワフワでジューシーな身。衣の厚さから衣の味、揚げ時間、魚の厚み、何から何まで極上のフィッシュだった。これは後ほど夢に見るまでの美味しさ。世界で一番美味しいFish & Chipsのショップ。
そのショップでは他にもお客さんがいた。多分、自分のクローゼットの中で一番イケテル服を着込んだ田舎の少女といった3人組。慣れないお化粧も頑張ってきたといった風で、おしゃれしてどこに行くんだろうとチラ見していると、「なんだこいつ?」と言った感じで見られてしまった。
ライブ会場のパブに戻る。前回私に一番に握手に来てくれたビリーや前回はまだ15歳で来れなかったというルーシー等と話す私たち。そして、皆の口から出たのは「今回も『ピンボールの魔術師』やってくれるよね!」
ほらみろ〜!私は絶対リクエストされるからと言っていたにも関わらず、相棒は、まさか彼らが覚えてると思えないし、二度も演奏するのは変だからと一度もケイシー込みで練習した事がなかった。しかしこうしてリクエストされてしまった。
バックルームへ行って慌てて「ピンボールの魔術師」を練習。(笑)もう三年弾いてないのでうろ覚え。しかし、ケイシーはルーシーと良い仲になって延々そばにくっついて話し込んでいる。大丈夫かと不安になりつつ、演奏開始。
今回は会場もパブと狭い所だったので、ステージ前所狭しと皆集まる。演奏も終盤にさしかかった頃、案の定「ピンボールの魔術師」コール…。完全じゃないからとたじろぐ我々。しかも、ケイシーはきょとんとしている。それでも治まらないコール。仕方がない、間違えたらごめんねという事で演奏を始めた。ケイシーもわけわからないままドラムを叩く。しかし会場の皆は、大騒ぎだった。
う、嬉しい…こんな喜んでくれるなんて…と弾きながら感無量。私ももっとベース、練習しなきゃな…と反省。そして終了後、ふと会場を見渡すとFish & Chipsショップにいたあの3人組がいた。あ!っと思っていると、向こうも気がつき、私たちがこの為にやって来た事をさとると、こっちに微笑んだ。この為におしゃれしてきたんだと思ったら、とっても愛おしくなった。(笑)
そんなこんなで長い夜が終わった。