2011年01月13日

●Tati Sonorama!

つい先日、またMon Oncle(ジャック・タチの映画)が観たくなりました。やっぱり面白いですね、この映画は!

そして、何よりこのMon Oncleのテーマ曲の良さはちょっと普通ではないですよ。

以前、itunesでこのテーマ曲を探したのですが、どこぞのオーケストラがアレンジしたものしかなく、オリジナル音源がなかったのです。しかし、再び検索すると、いつの間にTati Sonorama!というアルバムがリリースされているじゃありませんか。

よくよく調べると、このSonoramaというアルバム、本みたいな装丁の素敵CDのようなんです。音源だけを買うのは勿体ないのでamazonでCDを買いました。

本当にハードカバーの本みたいなのが届いた(下にあるのはMon OncleのDVDです)↓
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このアルバムはタチの映画音楽を全て?網羅しているようです。二枚組のCD二枚目はなんと、Mon Oncleのソーセージ状に出てくるホースの音まで入っていました。もぅ〜、この音聴くだけで吹く(笑)

そして、ジャクリーヌ・フランソワがカバーしたMon Oncleと…

なにやらアーティスト名が日本人の方のMon Oncleが!?Hideo Koh、高英男さんというシャンソン歌手の方のカバー版でした。

ジャクリーヌ・フランソワのバージョンもすごく優雅でフランス語がキュートで大好きなのですが、高英男バージョンに悶絶!なんじゃこれ〜!!

歌詞が全部日本語で、しかも所々字余り気味なのですが無理矢理うまく歌ってて、軽いリズムが心地よくて、高さんの歌声がいかにも昭和で(映画のポスターに総天然色と書いてあったような時代の日本人の声というか…?)、そして、すごく軽快にユーモラスに歌っています。最後は「ほいっ!」で終わってますし(笑)

今の日本って随分色々と変わってしまったなぁと思ってしまいました。この時代の日本人が持っていたユーモラスさって今どこへ行ってしまったんだろう?

高英男さんのMon Oncleが気に入ってしまって、今日はもうすでに10回以上聴いています。ほいっ!

こちらは、ジャクリーヌ・フランソワさんバージョンのMon Oncleです↓

ウッカリCD1の事を書くのを忘れてしまいましたが、CD1の中ではPlay Timeのサントラもかなり気に入っています。

2011年01月10日

●ピカソ展

去年の9月頃から、シアトル美術館でピカソ展が開催されていました。あと一週間で終わってしまうのですが、今日やっと行ってきました。しかも、今日は美術館メンバーが無料で鑑賞できる日でした。

しかし失敗。メンバー無料デーのせいか、シアトル美術館にしては珍しく大混雑!

車いすのおばあちゃんや片足を怪我した人までキックボードのようなものに乗って鑑賞。また、中には点滴?をしながら観ているおじいちゃんも!!

私は、実はピカソはあんまり良く知りません。もちろん青の時代やその他諸々有名作品や美人さん(ジローさん)の為に傘をさしてビーチを歩いてる写真とかは知っているけど、特にこれまで興味を持たなかったというか。ごめんよ、ピカソ。

さて、入り口に入ってすぐに目が入ったのが、青の時代の作品。これは、ヨーコ・オノを描いたもの…なわけないですね。タイトルは「ラ・セレスティーナ」しかし、似てるよ、ヨーコ・オノだよ…

会場が混雑しすぎで、まず近くに寄って筆運びを観察し、その後離れて全体を観るという楽しみ方ができないのが非常に残念。今回のピカソ展、シアトル美術館にしてはかなり頑張ったと思います。展示作品数もかなりの充実度で、見応えのある展覧会です。

そして、私の中で結構衝撃だったのは「浜辺を走る二人の女」…これ、もっと大きいキャンバスで描かれたものかと思っていました。少なくとも30号くらい。実物は縦がせいぜい30センチ程の小さい絵でした。なんで勝手に大きい絵だと思ったんでしょう。やはりこの走っている二人がドシンドシンと爆音をあげながら走っていそうな迫力ある絵だからでしょうか…?

しかし、ピカソの絵の変遷は本当に激しいですね。キュビズムからシュルレアリズムへの流れはちょっと面白かったです。たまたま今回シアトルに来ていた絵がそうだったのか、30年代の作風はどこかがパッカーン!と開いてしまったような豪快な色彩と筆さばき。一体どうやったらこんな視点になるんだろう、表現方法になるんだろう、脳を割って中を見たい。(割っても分からないか)

面白い!
やっぱり天才だよ、この人!(笑)

しかも、1972年という最晩年の絵までありましたが、最後の最後まで人物自体も恐らくダイナミック、絵もダイナミック。なんともパワーに溢れた魅力ある人だったんですね。

マダムは、今日、恐らく一番記憶に残ったのはピカソのアトリエ写真の中に小さく映っていたロートレックの肖像写真(多分コレと同じ)。かなり気になっているようでした。マダム、せっかくピカソ展に来たのに…(笑)

2011年01月04日

●ドレの神曲

紀伊国屋で懐かしい本を発見してしまいました。

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「ドレの神曲」(右側)

大学生の頃図書館で借りてハマり、何度も何度も借りて読んでは絵を楽しんでいた、そういう本です。数千年の時を経て、とうとう自分のものにしました。

この本は、一言で言うとギュスターヴ・ドレ挿絵による豪華な神曲絵本。イラストは緻密な版画で且つ迫力がありますし、あの長い神曲が絵に沿って抄訳されているので、文章嫌いな人でも神曲ワールドが楽しめると思います。

神曲と言えば、ウィリアム・ブレイクも神曲の挿絵を描いていますね。テイト・ギャラリーで多分今でも展示されていると思います。ブレイクの方は水彩画で、線は柔和だけど生命力にあふれた筆致で(実は病床で描いたのに)、また独特な色使いがなんとも不思議な世界を醸し出していました。

ブレイク版のこの手の本はないのでしょうかね。

と思ったら、自分、持ってましたよ…集英社版のもの(上画像左側の三冊)。そういえば、何年か前に買って読めずに放置してたんだった(笑)こちらは文庫版で、イラストはごく小さく白黒印刷です。せっかくのブレイクの絵が勿体ない扱い。地獄編を1/3程読んだ所で完全放置でした…(汗)

そして、前にも書いたような気がしますが…神曲を読む時に聴きたい曲です。Balanescu Quartetの"No Time Before Time"↓


9:14付近以降は、天国でベアトリーチェとお別れするシーンで流してもらうとかなり胸が熱くなると思います!

2010年12月08日

●ピーター・フック - unknown pleasuresツアー

つい先日、シアトルにピーター・フック(フッキー)が来る事を知りました。ピーター・フックは私が好きなバンドの一つ、ジョイ・ディヴィジョン(※参照)のベーシストです。数年前にもシアトルに来ています。しかし、その時はDJという事で行きませんでしたが、今回はなんとジョイ・ディヴィジョン時代の曲を演奏するとの話。しかし、やはりフッキーという所にちょっと不安感。

昨晩は、途中で友達を拾って会場であるパイクプレースのショウボックスへ

会場に到着したのが8時前。開場まで雨の降る中待たされてやっと中へ。9時半頃過去の映像やインタビューを交えたドキュメンタリー映像を見せてくれて、10時過ぎにやっと出て来た、ピーター・フックとそのバンドThe light!

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「ジョイ・ディヴィジョンやって文句あるか〜!?(威嚇)」

いやぁ〜、前から分かってた事だけど

おっかないよ、フッキー(笑)
これぞフーリガン代表という風貌というか、もっと酷く言えば10人位人を殺してるという顔をしています。しかし、それより以前からお友達のぽこ森さんと話していたけど、ぽこ森さん曰くの「背後に大漁旗が似合う」…まさにそうです。また、下町の長屋に住んで、一升瓶片手に酔っぱらいながらちゃぶ台を足で蹴飛ばしている日常をかいま見た気分というか。イギリス人なのに何故かステテコが似合いそうなその風貌。しかし、頭はソフトモヒカン。

相変わらず、フッキーはベースのストラップが超ロング。いくつになってもストラップは超ロング。そして、今日は一体誰が歌うんだろうと思いきや

フッキー自身が歌うんだったんだ…。

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「オレ様、これがないと歌えないんだよ…(アトモスフィアはかなりのカンニング率でした)」

しかし、のっけから会場は大盛り上がり。しょうみな話、全く期待してなかったけど…すごいパワフルで熱いよ熱い!(笑)

やはりフッキーも含めて非常に地味な見た目のメンバーですが、音だけ聞くと血がたぎる!ギタリストはギターがうまそうな顔したおにいさん、ベーシストはエジプトのミイラ棺に描かれた肖像画に似ており(追記:なんと、フッキーの息子ジャックでした。笑!)、ドラムとキーボードはフッキーと同世代な感じの人々、非常に地味です。それだけに本気を感じた(笑)

それよりなにより驚いたのは

フッキーのヴォーカルがイアン・カーティスとかぶってる?ふしぎ!
声が低いってだけかもしれない。

お出かけ前に、ぽこ森さんから気付け薬としてバーナード・サムナーの歌うジョイ・ディヴィジョンの曲(2005年のフジロックのもの)を聞かせてもらったおかげかもしれません。バーナード・サムナーの歌、ひどすg…

そんなわけで、隣の隣のお姉さんをチラ見したら始終目を瞑って演奏を聴いていました。確かに、目を開けるとステテコに大漁旗を背負って演奏しているフッキーが見えて、目をつぶるとジョイ・ディヴィジョンが見える。バーナード・サムナーの歌、ひどすg…(大事な事なので二回)

今回のライブ、ジョイ・デヴィジョンのunknown pleasuresというアルバムを中心に演奏していました。今年はイアン・カーティス没後30年という事で、命日の5月18日、フッキーはこのメンバーでライブをし、その流れでの北米ツアーのようです。

結局、アンコールは二回。二回目のアンコールには会場からのリクエストでセレモニーを演奏して会場の床が抜けそうな程盛り上がりました。会場の手応えが良かったせいか、フッキーの強面も崩れて笑顔で去って行きました。その後も皆会場を離れないでアンコールをせがんだけど三度目はなかったです。

…なんだか余計イアン・カーティスで見たかったです。30年も前に亡くなった人をも恋しくさせるフッキーマジック!

全く期待しないで興味本位だけで出かけた私たちは良い意味ですごく裏切られ、マダムもゲイリーニューマン時並みに暴れており「行こうと誘ってくれてありがとう!!予想に反して最高だった!」と大絶賛。"ジョイ・ディヴィジョンの遺産を金に換えている(by マニ)"とか言われても、あの時代にリアルで見られなかった私にはこの日のライブは大いに興奮しました。フッキーのレベルが10上がった。

↓unknown pleasuresのイラスト(これ、山のイラストかと思ってた。笑)がアメリカにかたどられたデザインのTシャツをゲット。日本列島だとちょっとキツいね。

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※ジョイ・デイヴィジョンは70年代後半に活動したバンド。80年の北米ツアー出発前日にヴォーカルのイアン・カーティスが突然自殺。その後、残ったメンバーはニュー・オーダーを結成しました。

2010年11月01日

●千年に一度咲く花

昨晩は、マダムの好きなミュージシャンのライブにお出かけでした。ゲイリー・ニューマンという人で、もしゲイリー・オールドマンと結婚したらどうなるんだろう?と思いました。

と、思いきや、綴りがNumanだったのですよ!

マダムは、行く前の食事時にお酒を飲んでいた事もあるのですが、それ+アドレナリンが激しく分泌してしまっていたらしく、テンションだだ上がり+人の話を全く聞いてない状態で手のつけられない有様でした。ちなみに、知り合いのご夫婦や知り合いの男性とも会場で会ったのですが、恐らく

「ヤバいよヤバいよこいつ!チョーキケン!何かやってる!?」

と、どん引きされたのでは?と思う程のはしゃぎっぷりでヤキモキしました。もちろん何もしていません。しかし私も思いっきり他人のフリをしました。会場でご迷惑をおかけした皆様、この場でもって謝罪したいと思います。本人に何度「落ち着け!」と言っても「だって〜生ゲイリーが嬉しくて嬉しくて〜♪」状態で、全くぬかに釘、のれんに腕押し状態でした。

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(昨日のゲイリー・ニューマン氏のベストショット↑)

自分を見失う程楽しめるなんて、なんかすごい…
普段よっぽど何かに鬱屈してたのかな?(笑)

昨晩のマダムは、1000年に一回咲く花の如く魂を解放していたのかもしれません。思わず、このままこの人は死んでしまうのではないだろうかと本気で心配しました。でも大丈夫でした。今朝、ちゃんと起き上がってきました。

で、ゲイリー・ニューマンの前座で、Motorという二人組が演奏したのですが…

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ドラムの人が、日中町ですれ違った人だった(笑)しかも、演奏後に私に水ボトルを手渡しでくれたのですが、よく見たら開封済みで半分くらい飲んであるよ。危うい所で間接キスは免れました(笑)

ゲイリーの飲んだ水だったら、マダムは喜んで持ち帰った事でしょう…

会場から一歩出ると、仮装した人だらけ!良かった〜パンダの耳付けていって(結局パンダにした。笑)

マックのポテトは歩いてたし、ホットドッグや海賊もいたし、悪魔やシロクマやチキン、トロンの人もいたし…トロンの人は白い長袖Tシャツにマジックで自作しており、中々なんの仮装か分かってもらえないと嘆いていました(Tronで画像検索するとどんなか分かると思います)異界に入ってしまったような雰囲気で面白かったです。

2010年07月31日

●大理石の彫刻

先日、テレビでアンティーク鑑定の番組を観ていたら、とある女性が大理石の少女の胸像を鑑定してもらっていました。

そんな事で、ルーブルのイタリア彫刻の間で大いなる感動を得た事を思い出しました。特にカノーヴァのエロスとプシュケの像。ため息が出る程美しいです。実は触ったら人間の感触がするんじゃないかい?という程滑らかで柔らかそうで繊細な描写から何からなにまで素晴らしいです。

そして、これはいつか実物を見たいと思っている彫刻↓とあるフランスの雑誌のベルニーニの特集からです。アポロンとダフネの像から。

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ダフネが徐々に月桂樹になっていく様子。

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↓プロセルピナの略奪から。この指の食い込み方、肌の弾力の描写が余りにもリアル。

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プロセルピナのこの表情。「う…人生おわった…」

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写真だけでもその迫力の片鱗を伺う事ができます。この頃のベルニーニはまだ20代前半だったというのも驚きです。

大理石の彫刻は、その滑らかな質感と冷たさが主題をさらにドラマティックにしていると思います。最近の私はちょっと大理石不足ですな。どこでもドアが本当に欲しいです。

L'ŒIL #496, 撮影:Massimo Listri

2010年06月07日

●Hokusai - First Manga Master

シアトル美術館の会員になっています。昨日行ったシアトルアジア美術館も同系列なので、会員特典の無料で特別展が見られたりします。

昨日初めて知ったのですが、どうやらミュージアムショップでの買い物が15%オフでできるらしい!もう数年会員をしているのに全く気がつきませんでした。

で、着物の柄だという波とうさぎ模様のカードと、北斎の本を買ってきました。

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しかし、家に帰ってAmazonで見たら、Amazonで買った方が安かったです(笑)

この北斎の本、「最初の漫画マスター」という副題がついています。北斎が発行した「北斎漫画」という画集からの作品が、全部ではありませんが収録されているようです。

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中の一ページはこんな感じ↑うぅ、これは全巻見たいですのぅ!

…で、デジタルだけど…国立国会図書館のデジタルライブラリーに発見↓

北斎漫画